川、いつか海へ

2003年NHK制作
テレビ放送50周年スペシャルドラマ
倉本聰野沢尚三谷幸喜が脚本を手がけたオムニバス作品。
「ガラスの浮き玉」が全体のモチーフになっているが、それの使い方は三者三様。
三谷さんはエッセイで自分の役割は「中継ぎの箸休め」だと語っていた。
全6話の構成は野沢→三谷→倉本→三谷→野沢→倉本。
三谷脚本と野沢脚本×ユースケ出演という理由で見た今作品。
倉本聰さんのドラマは今まで全く見たことなかった。
やはり3人の特色が全く違うため、どうにか終わらせないといけない最終話はいただけなかった。
けどそれ以外、というか三谷4話と野沢5話がすごく良かった。
1〜3話はそこそこの良さ。


4話は三谷さん得意のバックステージ物。
筒井道隆が王レスのオーナー風の、純朴勘違い男で面白い。
観月ありさはちょっとズレた雰囲気の愛人役。
香川照之は周りに翻弄されるまともな人役。
江守徹は観月と不倫してる演劇好きの社長役。
これはかなり面白かった。
人物設定がちょっと王レス風で役者も被ってるのがまた面白い。
三谷さんの持ち味がよく出た内容でテンポも良かったし。
バックステージ物をやらせたら右に出る者はいない、という感じ。


5話は1話との続きでキャストも同じ。
深津絵里(多実)とユースケ・サンタマリア(慎平)が離婚した(1話は直前)夫婦の役。
1話で、2人は多実の両親の思いがこもったガラスの浮き玉を、
山を登って川の水源である泉に運んだ。
その1年後。多実は新しい仕事に就き心機一転。
慎平は仕事が上手く行かず危ないことに手を染めてしまっていた。
もうかなり追い詰められている慎平は、ある決意を持って
多実にまたガラスの浮き玉を探しに行こう、と会いに行く。


内容的にはかなり重い。けど、清々しいラストですごく良い作品だった。
2人で結婚生活を振り返る会話はグっとくるし、別れ際に引き止める所は泣けた。
三谷さんの筒井道隆と同じく、野沢さんのユースケは「眠れる森」とちょっと被る感じ。
やっぱり脚本家も役者に対するイメージがあるし、それがハマりそうな役柄も似てくる。
当然といえば当然だけど、そういうのを考えて見るのも面白い。


この作品、DVDボックスがアウトレットで激安になっていたため買ったが、
なかなか儲けものだった。特典もかなり見応えあり!