リヴァイアサン

リヴァイアサン (新潮文庫)

リヴァイアサン (新潮文庫)

ポール・オースターの作品は
「ムーン・パレス」→「偶然の音楽」→「幽霊たち」→「鍵のかかった部屋
という順番で読み、「リヴァイアサン」を買った。
この作品はNY三部作(「シティ・オブ・グラス」「幽霊たち」「鍵のかかった部屋」)に
感触が似ていて、すごく細やかで密度が濃いけれど読み易かった。
今からだと最初に読んだ「ムーン・パレス」はオースターの著書の中でも結構異色だったのかと思える。
本の裏に書いているあらすじ

一人の男が道端で爆死した。製作中の爆弾が暴発し、死体は15mの範囲に散らばっていた。男が、米各地の自由の女神像を狙い続けた自由の怪人であることに、私は気付いた。FBIより先だった。実は彼とは随分以前にある朗読会で知り合い、一時はとても親密だった。彼はいったい何に絶望し、なぜテロリストになったのか。彼が追い続けた怪物リヴァイアサンとは。謎が少しずつ明かされる。

このあらすじの内容に近づくにはかなりのページを要する。
でも、それまでに登場するたくさんの人物の描写がとてもおもしろくて退屈する暇はない。
「色んな出来事がどこかでつながっている」「人がいかにして変わっていくか」という要素を
オースターはとても大切にしているように思う。
前者は今読んでいるオースターのエッセイ集「トゥルー・ストーリーズ」で驚くべき実話が
多数書かれているし、後者は「偶然の音楽」「鍵のかかった部屋」にも通じるところ。
読んで良かったと思える良作だった。